部分矯正とは
部分矯正とは、上下の歯すべてを矯正する全体矯正に対して、歯並びの一部のみを矯正する方法です。一般的には、上の前歯、下の前歯だけなど、気になるところだけの矯正をすることが多いです。
装置を部分的にしか装着しないために、どのような歯並びでも治療ができるということはなく、治療には限界があります。
しかし、前歯のねじれだけ、隙間を閉じたいなど部分矯正に適した症例の場合は、装着する装置の数も少なく、違和感も少なく、費用も抑えられるため、選択していただいてよい方法です。
メリット
装着する装置の範囲が少ないため、違和感が少ないこと、費用が抑えらます。
デメリット
装置を装着する範囲が少ない分、治療に限界があります。
例えば、口元の突出が気になっていて、前歯を引っ込めたい時など、歯を大きく動かす必要がある場合は、部分矯正での治療は不可能です。
また、かみ合わせが深く、上の前歯の部分矯正を希望される場合、上の歯の裏側に装置をつけますが、その装置を下の前歯が噛んでしまい、咬めない状態になってしまうため、治療は難しいです。
部分矯正の種類
表側からの部分矯正
透明な表側矯正の装置を使用して、部分矯正を行います。前歯のみに装置を付けますので、違和感は非常に少ないです。また、費用は、一番抑えられます。
裏側からの部分矯正
前歯の裏側に装置をつけて部分矯正を行います。表からは、装置はまったく見えません。 かみ合わせが深い方(下の前歯を上の前歯が覆っている量の多い方)の場合、下の前歯が装置を噛んでしまうので、裏側からの部分矯正はできません。その場合、表側からの部分矯正にするか、マウスピース型矯正装置を使用します。
マウスピース型矯正装置での部分矯正
マウスピース型矯正装置を使用して、部分矯正を行います。通常のマウスピース矯正と同じで、1日20時間使用していただきます。
着脱の手間はかかりますが、食事、歯磨きの際は、全く装置がついていない状態なので、快適です。
治療例
翼状捻転
主訴 | 歯のねじれ・顎関節 |
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年齢・性別 | 23歳・女性 |
治療方針 | ディスキングによる前歯捻転の改善 |
抜歯部位 | なし |
使用装置 | 表側矯正(上下4-4) |
治療期間 | 1年4か月 |
保定装置 | クリアアライナー |
リスク・副作用 | 痛み・治療後の後戻り・歯根吸収・歯肉退縮 |
治療費概算
精密検査・診断 | 35,000円 |
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矯正治療費 | 700,000円 |
調整料 | 5,000円/回 |
よくある質問
どんなかみ合わせも、部分矯正できますか?
装置を装着する歯の本数が限られるために、治療内容は限られます。基本的には、抜歯が必要な症例などは、部分矯正の適応外になります。歯を抜かないで治る叢生、捻転などが適応になります。
期間はどのくらいかかりますか?
歯並びの状態にもよりますが、通常6か月から1年ぐらいになります。
保定には、どのような方法がありますか?
部分矯正は、非常に細かい動きをさせて治すため、少しでも後戻りをすると非常に気になります。そのため、多くの方は歯の裏側に細いワイヤーを接着剤で固定する方法を選ばれます。この方法は、ワイヤーが外れない限り歯が動くことがないこと、就寝時のみ、マウスピースを使用するため、生活がしやすいです。ただし、ワイヤー周りに歯石がつきやすく、歯磨きをしっかりしていただく必要があります。どうしても心配な方は、通常通り、マウスピースのみ使用する方法でも大丈夫です。