マウスピース矯正とは
マウスピース矯正は、ワイヤー型の矯正とは違い、マウスピース型矯正装置をご自分ではめていただいて、歯を移動させる治療方法です。
マウスピースの製作は、治療の最初に口腔内をデジタルでスキャンし、そのデータをコンピュータに取り込み、三次元の歯並びを再現します。
次いで、コンピュータ上で、治療が終わった状態の理想の歯並びを作成します。現在の歯並びから、理想の歯並びになるまでの歯の動きを解析して、ワンステップずつ歯型をコンピュータ上に作ります。各ステップの歯型データを3Dプリンターにアウトプットし、ワンステップ分のマウスピースを作ります。
これを、現在の歯並びから、理想の歯並びまでの全ステップ分の歯型を作成し、マウスピースを作成します。
通常、2週間をワンステップとし、新しいマウスピースに交換していきます。装着した時には、少しきつい感じがしますが、すぐに慣れていきます。
※マウスピース型矯正装置(インビザライン)
- マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、医薬品医療機器等法の承認を受けていない未承認医薬品です。
- マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、米国アラインテクノロジー社の製品であり、インビザライン・ジャパン株式会社を介して入手しています。
- 国内にもマウスピース型矯正装置として、医薬品医療機器等法(薬機法)の承認を受けているものは複数存在します。
- 諸外国における安全性に係る情報(マウスピース型矯正装置インビザラインは1997年にFDA(米国食品医薬品局)により医療機器として認証を受けています。
- マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、承認薬品を対象とする医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
メリット
圧倒的なメリットは、食事の時に装置を外せることです。食事の時に何も装置がついていないので、自然に食事ができます。食事で気をつけることも何もありませんし、食べていけないものもありません。食事が終わったら、普通に歯磨きをして、マウスピースをはめるだけですので、歯磨きも非常に楽です。
そのため、むし歯のリスクも低くなります。
デメリット
1取り外し可能
装置をご自分で外すことができるのが大きなメリットである反面、規定の時間以上装置を装着しないと、歯が動かないだけでなく、外している時間が長くなると後戻りをして、装置が入らなくなることもあります。
そのような場合、そのステップ以降の装置がすべて使用できなくなり、再製作になりますので、費用も時間もかかります。ご自分でのコントロールが非常に重要になります。
2アタッチメント
アタッチメントというでっぱりを歯の表面に着ける場合があります。これは、歯の動きを確実にするために歯の表面にプラスチックの突起を接着剤で装着し、それに合わせて作成したマウスピースをパチンとはめて使用します。
歯の表面がデコボコし、違和感があるのと、審美的にはあまりよくありません。また、一番の問題が、アタッチメントを使用した場合、マウスピースを外す、つけるたびに、相当の力が歯にかかります。一日に一回でも負担がかかりますが、飲食のたびに着け外しをするので、1日に相当な回数着脱をしますので、かなりの負担がかかります。
そのため、当院では、基本的には、アタッチメントを使用せずに治療をすすめます。
3適応症例がある
ワイヤー矯正の場合、基本的には、治療不可能なケースはありません。それだけの機能を装置が備えているためです。
マウスピース矯正は、やはり、装置を歯に被せて維持をするだけということと、マウスピース自体が、薄い樹脂で作成されていて、強度的な問題があるため、抜歯を必要とするようなケース、奥歯を手前に動かす治療が圧倒的に苦手で、マウスピース矯正では難しい場合があります。
3Dスキャナー(iTero element2)
今までは、口腔内の情報を採取するために、歯型を取る必要がありました。現在は、3Dスキャナーにより光学的に情報を高精度に採取することが可能になり、歯型を取る必要がなくなりました。口腔内の情報をデジタルで得られることにより、多くのことが可能になりました。
例えば、マウスピース矯正をする場合、スキャナーのデータをそのままメーカーに送付することで装置を作成することができます。また、スキャンしたデータからiTeroを利用し、治療後の予測模型を作成することも可能になりました。
治療例
上顎前突
主訴 | 前歯の突出感 |
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年齢・性別 | 29歳・女性 |
治療方針 | 上顎前歯の後方移動により突出感の改善 |
抜歯部位 | なし |
使用装置 | 上顎インビザライン |
治療期間 | 1年6か月 |
保定装置 | クリアライナー |
リスク・副作用 | 痛み・治療後の後戻り・歯根吸収・歯肉退縮 |
治療費概算
精密検査・診断 | 35,000円 |
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矯正治療費 | 380,000円 |
調整料 | 5,000円/回 |
よくある質問
どのような歯並びに適応できますか?
基本的には、歯を抜かないと治らない症例は、適応外と思っていただいてよいと思います。歯を抜かないで治療できる症例が適応症例となります。簡単な叢生(デコボコ)であったり、歯の捻じれなどは、適応症例です。
歯を抜かないと治らないような症例は、どのような治療になりますか?
ひとつは、ワイヤー矯正で完全に治してしまう方法、もう一つは、マウスピース矯正で治せるところまで、ワイヤーで治し、途中でマウスピース矯正に移行する方法です。
この方法であれば、基本的にはどのような症例でも治療可能です。
マウスピース矯正はどこで治療しても同じですか?
マウスピース矯正の恐ろしいところは、どんな診断をしても、その通りにメーカーは装置を作成してきてしまうところです。コンピュータ上のシミュレーションでは、きれいに咬合する画像が提示されますが、その途中経過に関しては、完全にドクター任せになります。矯正治療の知識の少ないドクターが、メーカーが提示してくる診断をベースに治療を進めますが、歯は予想した通りには動かず、治療期間ばかり伸びてしまいます。
歯を予測通りに動かすためには、どのように力をかければよいのかという矯正治療の知識がないと絶対に無理です。矯正治療の知識のない医院でマウスピース矯正をして治ったとしたら、それは、運がよかったのだと思います。