保定とは
歯並びがきれいになり、矯正治療終了とともに、矯正装置を外します。
その後、何もしないでいると、歯は、じわじわと動き出します。
いわゆる、後戻りと呼ばれるものなのですが、そもそも人間の歯は、矯正をしてもしなくても動きます。
特に、下顎の前歯は、動きやすく、矯正治療をしたことのない方でも、昔はきれいに並んでいたのに、少しづつがたがたになって来たといわれる方は、本当に沢山いらっしゃいます。
下顎の前歯は、上顎の前歯に押さえつけられているのと、圧倒的に動きの大きい場所であること、それと、人間の歯は、隙間が空かないように常に後ろから前に力がかかっているので、少しでも並びが崩れだすと、そこに力が集中してさらに崩れがすすむためです。
矯正治療をした場合、とてもきれいに並んでいる分、少しでも動いてしまうととても気になります。
これは、矯正の後戻りでもあり、生体の自然な反応でもあります。
特に、装置を外した直後、6か月間はとても動きやすく注意が必要です。
そのために、後戻りを防ぐための、保定装置を使用します。
保定装置
保定装置には3種類あり、①透明なマウスピースタイプ、②表側にワイヤ、裏側にプラスティックのタイプ、③歯の裏側に細いワイヤーを接着剤で固定するタイプです。
それぞれ役割がことなります。
①透明なマウスピースタイプ
透明なマウスピースで覆うタイプで、審美性に優れ、日中、外出時などに使用していただきます。
この装置の優れた点は、審美的な面と、歯を完全に覆うので、特に前歯の細かい動きを確実に抑え維持することが得意です。
一方、薄い樹脂のため、歯列の幅を正確に維持する能力はあまりなく、その点が弱点です。
②表側にワイヤー、裏側にプラスティックのタイプ
この装置は、噛む面が空いているために、お互いの歯がかみ合い、より、しっくりかみ合わせが良くなる手助けをします。
また、マウスピースに比べると、強度は高く、幅を維持する能力に優れています。外側のワイヤーを調節することで、歯同士の隙間をなくす性能も持ち合わせているので、隙間が空きやすい方にはとてもよい装置です。
問題は、外側にワイヤーがついているため、どうしても装置が見えてしまう点が欠点で、夜間就寝時などに使用していただいております。
③歯の裏側に細いワイヤーを接着剤で固定するタイプ
歯の裏側に細いワイヤーを接着剤で固定するタイプの保定装置もあります。
主に、前歯に使用するのですが、前歯のものすごい細かい動きを治した後など、ほんの少しでも歯が動くことが許されないときは必ず使用します。
また、成人の方で、日中、仕事などでマウスピースを使用するのが難しい方の場合、この装置を装着し、夜間は必ず、他の装置を併用していただきます。
この装置の弱点は、接着剤で止めてあるので、外れる可能性があることと、下顎の前歯の場合、歯磨きをきちんとしないと
歯石が溜まりやすい点が挙げられます。
もし、接着剤が外れてしまうと、歯が動き出してしまうので、とれた場合は早急に来院していただいて、付け直しをします。
このように、保定装置は、それぞれ、利点、欠点があり、用途に応じて使い分けをしています。